もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー
「明緒。ほら、さっさと食べなさい。イッツユアタイム! あなたの時間よ」
「――――ぇ」
涼子はもうお弁当箱をナフキンに包んでる。
「さ。あなたたちも。さっさとご飯、食べなさい。行くわよ」
「やだ、東さん。こんなときだけ早ぁい」「待って待って」
涼子の姫発言にも、うなずいてくれるみんな。
どうしよう。
(ああもう!)
みんな、大好きだ。
「城ヶ根!」
ゴール下でフリーになったあたしに飛んでくるパス。
男子は未だにあたしの身体にふれることには遠慮がちで、それは男子の都合だから、あたしは思いきりそれを利用して楽々シュートを決めてやる。
ボールがネットを揺らすと「きゃぁぁぁぁ」
日々増えるギャラリーたちの歓声が体育館に響いた。
(気持ち、いーい!)
ハイタッチに伸びた手の先が慎吾だったことに気づいて、あわてて下げた手の上で、なにごともなかったように慎吾の両手が空を打った。