もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー
 
 身体中に移った慎吾(しんご)の体温がたまらなかった。
 かばわれて、結果的に抱きしめられてしまったときだって混乱したのに。

 いまのなによ。
 なんなのよ。
「友だちだって言ったじゃん!」

 怒っているあたしの視線を受け止めない慎吾が、たまらなかった。
 あたしにふれた指をぎゅっと握りしめた慎吾が背中を向ける。
「ご…めん」
「あ…やまるくらいなら、するなっ!」
「ごめん」
(こんなときばっかり……)
 そんなふうに、自分のしたことに自分で傷ついたようなふりを、あたしの前でするくらいなら、どうして友だちにもどろうなんて言ったの?

 きみの言う友だちって……なに?
 きみは、どうしたいのよ。
「あ…たしをどうしたいの、よ!」

 慎吾の残した熱が引いて、きゅうに冷たくなった身体を自分の腕で抱きしめる。
「こんなんじゃもう、もどるしか…ないよ? ずっと口もきかないでいた、中学のときみたいに、もどるしか……」
 振り向いた慎吾が首を振る。
< 118 / 153 >

この作品をシェア

pagetop