もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー
「ね、ね、明緒。いま工芸ってなにやってるの?」
「ん? 陶芸だけど」
「陶芸って、あのお皿とか作るやつ?」
「うん。でもまだ、思ったようにはいかないんだ」
そう。
なんっにも!
思ったようにはいかない。
「うーん。それは明緒の理想が高いせいよ。あたしが言ったでしょ、いつか。だから明緒はカレシが見つから……」
言いかけた言葉を、涼子が自分のなかにしまいこむ。
「そっか……」うつむいた涼子が言いそうなことはわかった。
「いるんだっけ…ね。カレシ……」
「やめてよっ!」
はね返すように出た声が、思わぬ大きさだったことに自分が驚いた。
言われそうなことは、わかっていたのに。