もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー
「いそぐんだけど?」
 冷たく言い放つと慎吾(しんご)がうなずく。
「うん。明緒(あきお)……、おまえ、明日ヒマ?」
「明日?」
「いや、さ。ちょっと、クラブのな、ゲームがあるんだけど」
 えっ?
「うえの人たちが胸を貸してくれるっていうんだけど――。おれ、出られそうだからさ。おまえ、見に来ねえ?」
 ゲーム? ウエ?
 あたしが(まゆ)をひそめると、慎吾があわてて話を続ける。
「…っと、あれだ。おれはちょっと、アップもあるし先に行くから……。あんま、うまくねえけど…ほら! グラウンドまでの地図、書いてきたし」
 慎吾があたしの手に、グウにしていた手から小さくたたんだ紙を押しつける。

「…っつうことで!」
 返事も聞かずに軽く手を上げて、階段を駆けのぼっていく慎吾の背中を茫然(ぼうぜん)と見送って。
 あらためて手のなかの紙を見た。
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