もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー

 インターセプトしたボールを、自分で敵エリアに持ちこんだ慎吾(しんご)がボールをキック。
 強く長く飛んだシュートは、だけどゴールをそれた。
 ロングホイッスルが鳴って、試合終了。

 まばらな拍手のなかで、空をあおいだ慎吾が立ち止まる。
 あたしの気持ちも、慎吾のうえに止まっていた。
 思い出も、いさかいも、空白の4年間も。
 そんなもの全然関係ない場所で額の汗をぬぐう、16歳の、新しい友だちのうえに。


 知らないうちに握りしめていたフェンスから、こわばる指を放す。
 ほっと息をついて。
「負けちゃったね」
 横に立っている涼子(りょうこ)に頭をめぐらせると、涼子は泣いていた。
 声もたてずに、静かに。
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