もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー
「…………」
 ぐっと力が入った腕にあたった胸の感触が、またやわらかくなった気がして、あわてて体重計に乗る。
 身長はまだ伸ばしたいから、そのためにも栄養は取らなきゃいけないけど。
 たとえこっちが、その栄養は背を伸ばすのに使ってよ…と、思っても。
 身体のほうは言うことを聞いてくれるわけじゃないし。
「胸だのお尻だの、大きくなったら死んでやる!」

 これ以上、女だってことで(そん)なんかしたくない。

 体つきや、ヘアスタイル。
 そんな外見で、女の子のわくに押しこめられなければ、あたしはあたしを、自分の好きなように決められる。
『だって明緒(あきお)、おまえ女じゃん』
 そんなふうに、あたしを決めつけるだれかじゃなくて。
『ねえ、どっちにも見えるって自由でステキだと思うけど』
 そのままのあたしを認めてくれるだれかと、いっしょに笑って、いっしょに楽しんで。
 あたしはあたしでいてやるんだから。
 と。
 思っていたのに――。
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