もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー
 アイツに、おまえは女だというレッテルを貼られて、あたしは仲間はずれになった。
 今度はなに? レズビアン?

 別に、女の子が女の子を好きになったって、かまわないと思うし。
 あたしにだって、この先、恋をしてしまうくらいかわいい女の子や、すてきな女性とめぐり合う未来があるかもしれない。

 だからって、いまそうじゃないことを、わかったふうに言われたくない。
 そんなのはちがう。
(ゆる)せない!」
 あたしはあたし!
 男だろうが女だろうが。
 男の子を好きになろうが、女の子を好きになろうが。
 ほっとけ、バカやろう!

「…ふざけんな!」
 教室中に響くような声でどなったあたしに、涼子(りょうこ)が肩をすくめてみせる。
「ま、ここまでは、うわさだから、ね」
 …う。
 その冷たい言いように水を差されて、あたしの怒りはジュッと鎮火。
 そうだった。
 怒っているのは、たぶん涼子もだ。
「で? 明緒(あきお)さん」
 はい……。
藤島(ふじしま)くんと本当はどういう関係か――。あたしは聞かせてもらえるのよね?」
 小首をかしげてにっこり笑う涼子の声には、うわさなんかじゃない、現場にいた人間の静かなおどしがこめられていた。
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