もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー
 でも。
 あたしからはあやまれないの。
 わかってよ。
 だってあやまったら、それはきっと涼子(りょうこ)藤島(ふじしま)を恋人にするスイッチになっちゃう。

 涼子が藤島を好きなのも。
 涼子と藤島が仲良くなるのも。

 それが、あたしとは関係ないところでなら、かまわないけど。
 いやだって言ってる相手を巻きこむ権利は友だちにだってないんだよ。
(はぁぁぁ……)
 こんなにため息がでるようじゃ、いつまでこの状態に抵抗できるか疑問だけどなぁ。

 ひとりぼっちのつらさを知っているのに。
 自分がだれかを、ひとりぼっちにしてるだなんて、そんなの……
(最低だ)

 チラチラ盗み見ていると、涼子がフッと身体の力をぬいておはしを置いた。
 えっ?
「どうしたの? 明緒」
「ん…? ううん。なんでもない」
 まだ半分も食べてないのに、お弁当箱をしまいだした涼子が気になったんだけど。
「なあに? 気になるの? (あずま)さんのこと」
 正面きって聞かれると
「ははは……」
 わけのわからない笑いで、ごまかしちゃったりして。
 クラス中が公認の絶交は、居心地が悪いったらありゃしない。
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