もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー
「あ…きおの、せいで! 明緒(あきお)のせ…いでっ」
涼子(りょうこ)……」
「…………」(くちびる)をかみしめた涼子が、くるっとあたしに背中を向けた。
「あたし、ふられたよ、藤島(ふじしま)くんに」
 ――――えっ?
「う…そ」
 ほかの言葉はなにも浮かばなかった。
(だって、そんな! だって……)
「うそ……」
 ばかみたいにくりかえすあたしに
「いったい、なに言ったのよ! なにしたのよ! なにが友だちよ!」
 自分の足元に吐き捨てるみたいに涼子が叫ぶ。
「りょ…うこ…」

 あたしはなにも。
 あたしは…知らない。

 あぜんと首を振ることしかできないあたしの前で、唇をひきむすんで振り向いた涼子の目から大粒の涙がぽろぽろ落ちた。
「涼子――…」
 心臓が壊れそうにダクダク弾みだしたあたしにできたのは、ただポケットを探ること。
 かける言葉は探しても探しても浮かばないから、ほかには涙をぬぐってあげることくらいしか思いつけなくて。
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