もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー

 (ああ、涼子(りょうこ)
 涼子の(ほほ)を流れていた大粒の涙が、まぶたの裏によみがえる。
 いたたまれなくて立ち上がっていた。
 藤島(ふじしま)は黙ったまま、目だけであたしを追いかけてくる。
 ずうずうしいやつ!
 女ったらし!
 ばか! ぼけ! まぬけ!
 なじる言葉なら、いくらでも浮かんでくるけど。
 ほかにだれもいない夜の思い出の公園で、黙って、こっちをじっと見ている藤島の視線は、あたしには苦しくて。
「と…にかく、そういう、ことだから」
 それしかない。言うしか、ない。
 自分に言い聞かせながら、決心を口にするために、乾いた(のどビ)をコクンとツバで(うるお)す。
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