もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー
「……明緒……」
やめてやめてやめて!
「おれ…ずっと、つらかったんだ。なんでおまえにきらわれたのか、ずっとわかんなくて、つらかった。そりゃ半分くらい頭にもきてたけど……。つらかった」
慎吾……。
「だからもう、いじめないでくれよ」
暗い夜の空を仰いで笑う慎吾の声は、全然笑ってない。
「ちくしょう。おれ、もう大丈夫だと思ったのにな。もう、おまえに負けねえと思ったのに……。なぁんか、やっぱ、相変わらずおれ、おまえの子分だな」
「…………」
「東…な。おれがずっとおまえのことを見てたの、知ってたぜ」
えっ?
「――――慎吾!」
走っていくそのうしろ姿は、こわいほどあっという間に暗がりのなかに消えた。