もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー

 藤島(ふじしま) 慎吾(しんご)のせいで、友情なんて簡単にこわれるものだって思い知らされて。
 なんだか冷めた気分で、中学の3年間は特別な友だちも作らないでいたのに。
 涼子(りょうこ)に会ってあたしは、おかしいけど初めて“女の子”ってやつも実感できた。

 それまで遊び友だちは男の子ばかりで。
 ピンクや花がらや、ぴかぴか光るもの。
 そんなものには全然、まったく、興味のなかったあたしには、涼子のシュミはいちいちおどろくものばかり。
 だから、そんなことに気をとられていて、まわりでたっている涼子のうわさには、あまり関心をもっていなかったけど――。


「ねえ、明緒(あきお)」涼子があたしの体操服のすそをつまむ。
「明緒もあんなへたっぴたちの相手をしてないで、いっしょに男子のサッカー、見ましょうよ。おもしろいわよ?」
(ふう……)
 こういうことを、その“へたっぴたち”に聞こえるように言ったらどうなるか。
 入学して半年たったいま、性格ブスっていうレッテルが涼子の背中には貼りついている。
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