もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー

慎吾(しんご)…」
 気がつけば、あたしはまた、ひとりぼっち。
 夢のなかのあたしみたいに、ひとりぼっち。
 だけど、怒りのないひとりぼっちは、ものすごく寂しくて。
 あたしの気持ちは追いかけていた、アイツの背中を。

「ああ……」
 どうしてよ。
 あたしはあんなやつ、大っきらいなはずなのに。
 どうしてこんな気持ちになるの?

「こ…んなの、ダメだ」
 4年間、つらかったんだから。
 ずっとずっとつらかったのは、あたしなんだから。

『おれたちは友だちじゃなかったのかよ?』
『おれ…ずっと、つらかったんだ』
『明緒』『明緒』『明緒』

 頭のなかを、アイツの言葉がうずまいている。
「ちがう、のに」
 あたしがおぼえてなくちゃいけない言葉は、ちがうのに。
< 80 / 153 >

この作品をシェア

pagetop