もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー
 
 頭をぽりぽりしてる慎吾(しんご)にどなってやりたいけど、母さんの手前それもできなくて。
 あたしは母さんに背中を向けたまま黙って慎吾をにらみつける。
「やぁだぁ!」母さんが突然、頭のてっぺんから声を出してあたしの背中をたたいた。

「うわ、ごめーん。ママったら、にぶーい。そうか! そうなのね?」
「………は?」
 相づちを求められた慎吾も困ってるけど。
「やだ、明緒(あきお)ちゃん! そうならそうって言えばいいじゃない、やぁねぇ」
 背中をパンパンたたかれているあたしは、もっとわからない。
「ちょっ…。なんなのよっ」
 イライラして振り向くと
「なんなのって……」くすくす笑いながら母さんが、慎吾とあたしを交互に見た。
「あなたの例のボーイフレンドって、慎吾ちゃんだったのね」
 はぁあああああ?
< 85 / 153 >

この作品をシェア

pagetop