もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー
 答えは改札口につく前に、追いついてきた。

「なんだよ。せっかく友だちにもどったんだから、仲良くいっしょに学校でも行くか…とか思ったのによ。ほんと、マジ、歩くの速いんだから、おまえは」
 だれが友だちだ。
「あたしは…」
 言いかけたのを、慎吾が人さし指を振って止める。
 振った手の親指で自分の胸をトントンと叩いた。
「おれが! おれが友だちにもどったんだから、いいの! 聞いてねえよ、おまえの気持ちなんて」
「なっ…」
 あきれて、腹が立って、驚いて……。
 とにかくいろいろで言葉が出ない。

「もっ…、もっ…」
 勝手にしろっ!
 どなる気力もうせて、ただ歩いた。
 当然、慎吾が横をついてくる。
「でもなぁ、そういう態度していいのかぁ? ゴミ、捨ててきてやったの、誰かなぁ」
 なんだと?
 それがどうした。
 無視!
「集積所、駅と反対の方角なんだもん、まいるぜ。なぁ?」
 だから?
「自分が勝手に良い子ぶったくせに。恩きせがましいこと言うな」
「まだ、きせてねえよ、恩なんか」
 まだ?
 いやな予感がして、相手にするのをやめて先をいそぐ。
「ひとつ」慎吾が言って、あたしの前に回りこんできた。
「聞かせろよ。だれだ? おまえの男って?」
「…………」
< 87 / 153 >

この作品をシェア

pagetop