もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー
 あきれてものも言えない。
 無視してやりすごそうとすると、うしろ向きに歩いているまぬけなやつは、あたしがよけるほう、よけるほうにじゃましにきて。
 あまりのうっとおしさに、がまんできずにあたしが立ち止まると、慎吾(しんご)も立ち止まってルーズパンツのポケットに両手をつっこんだ。

 本当に!
 どうしてこんなことをするの?
 意味がわからない。

 もちろん礼儀正しく聞かれたって答えたりしないけど。
「それが、ひとにものをたずねる態度なわけ?」
 思いきり冷たく言ってやったのに、慎吾は気にしたふうもなく肩をすくめる。
「なまじ両手が出てると、答え次第じゃなんか悪さしそうだからよ」
 な…んだ、そりゃあ。
(ああ……)
 どうして、こうなっちゃうんだろう。
 友だちなんかじゃないのに。
 あたしは、もう、絶対、友だちにもどるつもりはないのに。
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