もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー
 がたんがたん、がたんがたん。
 揺れる列車のようにあたしも揺れる。
 沈黙。沈黙。沈黙。
 いやだ。こわい。
「ちぇっ」
 きまずい時間をブレイクしたのは慎吾(しんご)
 耳にかかった息がこそばゆいけど、それどころじゃない。
「ちょ…」
 黙ってなさい、と振り向きかけて。
「そんなに、にらまなくたって、心配いらねえよ」
 耳元で聞いたセリフ。
 なに?
「どうだかっ!」
 胸元からは涼子(りょうこ)のかみつくみたいなひと言。
(い…やだ)
 本当にどうなってるの?
 全然、わけわかんない。
 ゆうべ、あたしの知らないところでなにかあったんだろうか?

「あのなぁ」吐きだすみたいに言った慎吾の身体が、あたしの肩にふわっと当たる。
「言いたかねえけど、おれも、ふられたわ」
 えっ?
 な…に?
 だれに?
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