もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー

「しーんじられない!」涼子(りょうこ)(まゆ)をひそめる。
「こんなやつにノートなんか貸したら、一生つけあがられちゃうわよ、門脇さん」
「まさか。そんなことないわよねえ、藤島(ふじしま)くん」
 言われた門脇は笑ってるけど。
「あなたが、そんなにまぬけだとは思わなかった」
 それに対する涼子の感想に、
「やーだぁ、(あずま)さん、それはひどいよ」「ねえ」「あはははは」
 ここで笑い声がおきるのは、なんでなの?
 いつだったか涼子が、同じようにこんなキツイ発言をしたときは、みんな、言葉もなくして黙ったじゃないの。

 止まらないくすくす笑いに、慎吾がパラパラめくっていたノートから顔をあげた。
「おいおい。笑ってないで、だれか教育してやれよ。こんな性格の悪いやつ、野放しにしてちゃよくねえぞ」
「でぇもお」「ねえ」「うふふふふ」
 広がるやわらかな笑い声。
 くやしいけど、認めないわけにはいかない。
 同じようなことがあったのに。
 あたしにはできなくて。
 慎吾にはできたこと。
(ちくしょう!)
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