七色の魔法使い#3~大地が奏でる幻想曲を~
「大智は、作曲が出来るんだよね。最初、大智が作った曲を聞いた時は俺もびっくりしたよ……」
エデンから帰って来た僕は、輝一にさっきのことを話す。輝一は微笑んで、大智のことを語った。
「……でも、音楽を作るのは諦めた。フルートを吹いていた方が楽しいし……」
悲しそうに、大智は微笑む。
「そんな事ないよ。アイビーも言ってたでしょ?すごく素敵な曲だって……僕もそう思ったけどな……大智には、他にもいっぱい曲を作ってほしい。大智は、音楽家に向いてると僕は思う」
僕がそう言うと、大智の目からは涙が零れた。僕は、大智にどう接してあげたら良いのか分からなくて、黙って大智を見つめることしか出来ない。
輝一は、大智に近づくと無言で大智を抱き締める。大智は、わぁっと声を上げて泣き出した。
……あれ?僕、何か傷付くようなことを言った?なら、謝らないと……僕のせいで、大智は泣いたんだから。
「……大智は、冬都の言葉に傷付いた訳じゃない。自分を責めるな」
輝一は、大智を抱き締めながら呟く。
「違う……僕のせいだ……僕が何か傷付くようなことを言ったから……」
「どうやったら、そんな考えになるんだ……お前は、ただ大智を褒めただけでしょ!そんなことで、自分を責めるなよ。泣く理由なんて、他にもあるだろ……嬉しかったとか」