惚れたら最後。
まず黒のウィッグを取り、カラコンを外す。

すると本来のグレージュの髪色に、琥珀色に光る瞳が現れる。

この瞳はいわゆるアンバーアイズというものだ。

身体は胴回りは細いのに胸は大きく骨盤が張っている。

ツンとした高い鼻、彫りの深い目鼻立ち──私に異国に血が混じっていることは確実だ。

しかしどこの国のミックスであるかは知らない。



それもそのはず。私自身捨てられた身なのだから。



だからこそあの時、瀕死の自分を拾ってくれた先代情報屋の夢には感謝している。

感謝の意を述べることはもはや叶わないけど。

育ての親で情報屋のノウハウを教えてくれた夢は、2年前に亡くなっている。



けれど、先々代が健在でよかった

後見人として見守っている初代梟を思い浮かべた。

初代梟は現在表の世界で生きている。しかも医者として。

彼のおかげで17歳という若さでありながら高層マンションに住み、情報屋として自由自在に動くことが出来る。



「あ、医者で思い出した。来月、ピルをもらいに行かないと。
それから明日は今日のデータをまとめて……って言っても収穫か写真だけか。
あと他に来てる依頼を確認して……早く片付きそうなやつから………終わらせて…………」



いろいろ言葉にして頭を整理していたら、疲れのせいかいつのまにか湯船の中で寝てしまった。
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