惚れたら最後。
「え、ちょっと!今日は絶対しないからね!」

「あー、はいはい。分かってるって。そうじゃねえから」



絆は慌てる私穏やかな口調でなだめると、少し離れて私の顔をじっくり眺めた。



「二度と出会えないだろうな、お前みたいな女」

「そりゃ情報屋やってる人間なんてごく少数だよ」

「違う、一挙一動全てが愛おしくてたまらない女にだよ」

「……え?」

「魅惑的で飽きなくて、こんなに心がかき乱されるほど好きになれる存在に、ってこと」



その言葉を理解すると、あまりの糖度に恥ずかしくなって顔が燃え上がるほど熱くなってしまった。



「好き」

「明るいところでやめて……」

「あ?今更すぎるだろ、初々しいなぁ琥珀、たまんねぇ」



手で顔をかくしたけど、その手を掴まれて無理やり顔から引き剥がされた。

絆は私の顔を見るとニヤニヤと嬉しそうに笑っている。

力では勝てないと察して水をかけてやろうと思ったけど、その前に絆の口が動いた。



「ずっと一緒にいよう?」



とても優しい口調だった。



「……うん。そんなこと言ったからには浮気したら許さないからね」

「あ?俺がんなことするかよ。こんなに好きで好きでたまらないのに。
逆にお前が浮気したら、相手を抹殺した挙句に監禁してやるからな」

「まあ怖い、さすがヤクザ」



ちょっとおちょくっていたずらっぽく笑って、一足先にバスルームから出た。
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