惚れたら最後。
「やだ、見ないで」

「なんだよ琥珀、家じゃそんなこと言ってたのか?かわいすぎかよ」



照れてしまってろくに反論できない。

追い打ちをかけるように絆が目を細くして距離をつめてきた。

え!?キスする気?小さい子たちの前で……!



「絆兄ちゃん今気づいたの?琥珀はかわいいんだよ!
じまんのお姉ちゃんなんだよ」



スイッチが入ってしまった絆の間に割って入ったのは流星だった。



「おれ、琥珀のかわいい写真いっぱい持ってるからいる?」

「マジで?送ってくれ」

「うん、いいよ。あ、琥珀のへんがおもほしい?」

「は?欲しい。琥珀の写真ならなんでもいいから全部くれ」

「もう勘弁して……」



トントン拍子に進む会話に参って絆を睨んだ。



「顔真っ赤だな。かわいい、好き」

「っ……ずるい」

「なに照れてんだ琥珀。俺はおそらく、一生こういうこと言い続けるだろうから早めに慣れた方がいいぞ」

「無理、慣れない。だって急に言ってくるじゃん」

「まあ照れてるお前が見たいから不意打ちで言ってるのは確かだけど」

「確信犯?なおさらタチ悪いよ」

「ははっ、悔しかったら涼しい顔で俺の発言一蹴(いっしゅう)してみろ」

「ほんといじわる……」



弱々しい私の声に、絆はいたずらっぽく笑った。
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