惚れたら最後。
自宅のマンションに着いたのは午前0時を過ぎた頃だった。

琥珀を部屋に招き入れ、リビングのソファーに座らせるとコーヒーを淹れてもてなした。



「……ふぅ」

「落ち着いた？」

「うん、絆の淹れたコーヒーおいしい」



隣に座って穏やかな口調で話しかけて、琥珀から口火を切ってくれることを待った。

する琥珀はマグカップをテーブルに置き、持ってきていた肩掛けのバックから折り畳まれた紙を取り出した。



「夢の部屋整理してたら、これを見つけて」

「……手紙？」



差し出されたそれはどうやら手紙のようだ。



「読んでもいいか？」

「うん……」



真っ白な便せんを開いて、びっしり書かれた手書きの文字を時間をかけて読んだ。

俺は読み終えてもそれに視線を向け、少し考えた。

『夢』にとっても、琥珀が全てだったんだ。

2人は本物の家族より強い絆で結ばれていた。

俺が代わりに、なんておこがましい。

そう思うと悲しいのに、その気持ちに反して心はあたたかい。



ふと視線を感じて横を見ると、琥珀がどこか不安そうな表情をしていた。
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