惚れたら最後。
泣き顔も可愛ければ嗚咽すら愛おしい。

好きになってしまった女の全てが愛おしいと思うなんて、やっぱり自分は父親に似ていると思った。

ふと、琥珀はポロポロ涙をこぼしながら顔を上げて目を合わせた。

そのとたん、ついに抑え込んでいた感情が爆発した。



「あー、好き!」

「えっ、なにびっくりした……」



突然声を放ったものだからビクッと反応する琥珀。

普段クールなのに今は弱々しいひな鳥のようで、そのギャップにやられた。



「んんっ……!?」



琥珀の唇を塞いだ。口をこじ開けて舌を絡ませる。

琥珀は突然キスされたにも関わらず、拒否反応を示さなかった。

それをいいことにソファーに押し倒し、白い滑らかな頬に触れながら満足するまでキスをした。



「……変態。いきなりするなんてズルい」

「そういうの煽ってるっていうんだけどなぁ?」

「そんなつもりじゃ……ひゃあ!」



胸を触ると琥珀は甲高い声を上げた。



「……絆の手、冷たい」

「ああ、ごめん。にしても今の声可愛かったな」

「うるさい……」



からかうと琥珀は顔を赤くして顔を背けた。



「ここでするの?」

「ダメ?」

「明るいからやだ……」



嫌だと言う琥珀を抱き上げて寝室に運び入れ、恥ずかしがるその顔にもう一度キスをした。
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