惚れたら最後。
私も憂雅さんにならって食べたいケーキを先に確保しておいた。

お目当てのケーキを食べられるように主菜は少し少なめに取り分けて席に戻った。


「……」


仲良くご飯を食べる憂雅さんと弟妹たちを見て立ち止まった。

まるで本当の親子みたいだと。



「どうした?琥珀」

「あ、いや……憂雅さんに隠し子がいるなんて噂されてるのもうなずけると思って」



最近『鳴海憂雅に隠し子がいた』とのゴシップニュースが巷で流れている。



「ああ、その噂めっちゃ笑ったわ。
根も葉もないのに拡散されててびっくりだ。
てかむしろごめんな、流星と星奈が晒されちまって」

「大丈夫ですよ、この子たちのことはご心配なく。ちゃんと対策を取ります。
それよりいつも面倒見てくださってありがとうございます」

「こちらこそ。俺も癒されてるしwin-winの関係ってやつだ」



ニカッと白い歯を見せて笑う憂雅さんだったが、隣に座っていた流星に服を引っ張られてそっちに視線を向けた。



「憂雅兄ちゃん、2回目行こうよ!」

「早いな流星、ちゃんと噛んで食べたか?」

「うん、しっかりかんだから行こう?
ローストビーフもらいに行くんだ」



立ち上がって憂雅さんと手をつなぎながら歩く彼の大きな背中。

……あれはいいパパになるな。



「星奈とお手洗いいってくるね」

「うん、いってらっしゃい」



一方こちらでは本物の姉妹よろしく、永遠と星奈が手を繋いでテーブルから離れていった。

すると二つ隣のテーブルに待機していた本家の男のひとりが立ち上がって距離を置いてついて行く。

護衛って大変だな。そう考えながら、まだ自分の皿には料理が残っていたためひとりで黙々食べていた。


すると突然、誰かに肩を掴まれた。
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