惚れたら最後。
周りはざわついていたけど、店員が花火を刺したバースデーケーキを持ってきたことで注目がそちらに向かった。

どうやら今日誕生日の客がいたらしい。

しばらくして若い女性の歓声が聞こえると、注目は完全にそっちに移った。

すると永遠は護衛が座っているテーブルにカツカツとヒールを響かせ歩く。

そしてダンッ、とそのテーブルを叩いた。



「ねえ、なんで琥珀のこと守ってあげないの?」



永遠はかなりご立腹だ。

美人が怒ると怖いってほんとだな。

どうやら、手が空いていた護衛が動かなかったから怒ってるぽい。



「す、すみませんお嬢。
ですが俺の仕事はお嬢を守ることで……」

「つべこべ言わないで。琥珀はお兄ちゃんにとっての唯一無二なのに、見て見ぬふりなんて有り得ない。
次こんなことしたら許さないから」

「はい……」



その威圧感に護衛の男は頭を垂れて謝った。



「どうしたの〜、みんな」



緊張した空間に間延びする気の抜けた声。

振り返るとローストビーフをいっぱい盛った皿を持つ流星が首をかしげていた。

マイペースな流星の姿に気が抜けた。
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