惚れたら最後。
「あ、そういえばさ、琥珀にお願いがあるんだけど……いい加減ディスプレイ直してもらってもいいか?
実は来週に“最高顧問”がシャバに出てくるって話らしくて。
さすがにその時までには元に戻して欲しいなあって」
私は「あ、忘れてた」といたずらっぽく笑った。
「琥珀~、その顔はぜってえ忘れてなかっただろ。
あの人厳しいからそういうのはどうかと思ってさ」
苦い顔をする憂雅さんに疑問を感じた。
あの人、というのは現在刑務所で服役中の『潮崎 理叶』のことだろう。
彼は銃刀法違反で警察に逮捕された。
別にヤクザが逮捕されるのはよくあるけど、疑問に思ったのはその後の話だ。
「へえ、そうなんだ。分かった今日中には戻しとくよ。
……てか気になってたんだけど、なんで最高顧問ともあろう人間が半年も服役する羽目になったの?」
普通、莫大な財力を持つヤクザなら、幹部が逮捕されると保釈金を支払うため、服役させるということはまずない。
過去には何十億をかけて保釈されたヤクザだっている。
にも関わらず、荒瀬組幹部の潮崎は服役させられてしまったのだ。
「あー、それは……」
「親父が保釈金は出さねえって言ったんだ」
憂雅さんが言葉を濁したその時、アルバムを見ていたはずの絆が会話に入ってきた。
「組の最高顧問なのに?」
「仲悪いんだよ、親父と“理叶さん”。
……その原因は、琥珀なら知ってるだろ?」
「知ってはいるけど、壱華さんとその人仲がいいはずだよね?
あの壱華さんが20年以上前の話を引きずるタイプとは思えないし……」
「違う違う、母さんは気にしてないけど親父が許してないんだ。
仲良いのも気に入らないらしい」
「え、それってつまり……嫉妬で釈放させなかったってこと?」
「……まあ、他にも理由あるっぽいけど。ざっくり言うとそうなる」
「ええ……?」
思わず微妙な表情で曖昧な反応をしてしまった。
組長が私欲で幹部を釈放させないなんて、そんなバカな話があるのかと。
実は来週に“最高顧問”がシャバに出てくるって話らしくて。
さすがにその時までには元に戻して欲しいなあって」
私は「あ、忘れてた」といたずらっぽく笑った。
「琥珀~、その顔はぜってえ忘れてなかっただろ。
あの人厳しいからそういうのはどうかと思ってさ」
苦い顔をする憂雅さんに疑問を感じた。
あの人、というのは現在刑務所で服役中の『潮崎 理叶』のことだろう。
彼は銃刀法違反で警察に逮捕された。
別にヤクザが逮捕されるのはよくあるけど、疑問に思ったのはその後の話だ。
「へえ、そうなんだ。分かった今日中には戻しとくよ。
……てか気になってたんだけど、なんで最高顧問ともあろう人間が半年も服役する羽目になったの?」
普通、莫大な財力を持つヤクザなら、幹部が逮捕されると保釈金を支払うため、服役させるということはまずない。
過去には何十億をかけて保釈されたヤクザだっている。
にも関わらず、荒瀬組幹部の潮崎は服役させられてしまったのだ。
「あー、それは……」
「親父が保釈金は出さねえって言ったんだ」
憂雅さんが言葉を濁したその時、アルバムを見ていたはずの絆が会話に入ってきた。
「組の最高顧問なのに?」
「仲悪いんだよ、親父と“理叶さん”。
……その原因は、琥珀なら知ってるだろ?」
「知ってはいるけど、壱華さんとその人仲がいいはずだよね?
あの壱華さんが20年以上前の話を引きずるタイプとは思えないし……」
「違う違う、母さんは気にしてないけど親父が許してないんだ。
仲良いのも気に入らないらしい」
「え、それってつまり……嫉妬で釈放させなかったってこと?」
「……まあ、他にも理由あるっぽいけど。ざっくり言うとそうなる」
「ええ……?」
思わず微妙な表情で曖昧な反応をしてしまった。
組長が私欲で幹部を釈放させないなんて、そんなバカな話があるのかと。