惚れたら最後。
「ははっ、そのセリフどっかで聞いた」

「糖尿になるぞ」

「まだ若いから大丈夫だって。毎日甘いもん食ってるわけじゃねえし。
あ、すみません店員さん。このチョコチップクッキー2つ追加で」

「は?まだ食うのか!?」

「違うって、これは流星と星奈の!」



慌てる憂雅と驚く俺見て、なぜか琥珀が笑い出した。



「仲いいよね、ふたりとも。絆と憂雅さんみたいな関係って憧れる」

「まあ、俺は絆が生まれた時から世話してたからな。
兄弟より兄弟ぽいってよく言われる」



「なっ?」と目を合わせた憂雅は嬉しそうに笑っている。

「そうだな」と返事をしたがら支払いを済ませ、ケーキを受け取り帰路に着いた。





「そういえば、3冊目のアルバムってなんだろう」



車内でスマホをいじっていた琥珀がふと思いついたように顔を上げる。



「琥珀が最後に持ち出した荷物か?」

「うん、紙袋に入れてきたアルバム。
あと一冊見てないなと思って。帰ったら見てみようっと。
あ、あと荒瀬家に双子がお世話になりますって連絡入れとこ」

「刹那は別に連絡取らなくていいだろ」

「まあ、一応。あの子、実は私の事まだ警戒してるみたいだから。私が情報屋だって知らないし」

「探ってるうちに、うっかり琥珀に惚れそうで怖いんだよ」

「まさかぁ、刹那はたぶん私みたいな計算高い女嫌いだと思うよ」



なんてことない話を言い合いながら、マンションに帰って一息ついた。
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