惚れたら最後。
SIDE 琥珀


絆が休憩しているソファの横で、3冊目のアルバムを引っ張り出してそれを開いた。

アルバムの1ページ目。

そこに写っていたのは、いたずらっぽい笑みを浮かべる、あどけなさが残る少女。

写真は古いものだから画質が悪いけど、それが夢だとひと目で分かった。



「それ誰だ?琥珀になんとなく似てる」

「……」

「琥珀?」

「……そんなはずないよ。だってこれは夢だから」



アルバムをのぞいてきた絆の言葉に驚いた。

血が繋がっていないからそんなはずないのに。



「俺が言いたいのは容姿じゃなくて雰囲気だ。
例えば憂雅と司水さんは実の親子じゃねえけどなんとなく同じ匂いがする。そういう類の既視感」

「そっか、夢のこと大好きだから似てるって言われるのは嬉しい」



次のページをめくると、拓海と夢のツーショットが貼られていた。

ふたりともずいぶん若い、10年以上前のものだろう。



「この男……どっかで」

「この人は夢の初恋の人。叶わなかったけど」

「へえ、ちなみに琥珀の初恋っていつ?」



会話の中で変化球を投げてきた絆に戸惑った。



「……野暮なこと聞かないでよ」

「それって、つまり俺が初恋?」

「秘密」

「強がっても隠しきれてねえぞ琥珀」

「う、うるさい」



図星をつかれ、照れを隠すようにアルバムに集中した。
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