惚れたら最後。
「ふふっ」と声を出して笑うと、絆は驚いて身体を引き剥がし、私の顔を見つめた。

どうやら予想外の反応だったらしい。



「……何笑ってんだよ」

「やっと言ってくれたと思って。それから、私も堕ちるとこまで堕ちたなって」

「は?」

「嬉しいの。そこまで私の事を好いてくれているなんて嬉しくてたまらない。
もうここまで来ちゃったら何を言われたって嫌いになれないから、ため込まないで今言ってくれたみたいに、もっと素直になっていいのに」




絆の肩に手を回しハグを求めた。

すると絆はぽかんと見つめ、それから意地の悪い微笑みを浮かべた。



「へえ、出会った頃はこうやって抱きしめただけで赤面してたのに、言うようになったじゃねえか」

「……」

「琥珀?」

「ごめん。時間差で来た、顔近いもう無理」

「はぁ?なんだよそれ……やっぱかわいいな、お前」



絆は白い歯を見せ楽しそうに笑うと、急に接近してきて噛み付くようなキスをしてきた。

舌を絡ませねっとりとした官能的な口付け。

下腹部が熱くなってきゅうっと切なくなるような不思議な感覚を覚えた。

ふと唇を離した絆は、そんな私の変化に敏感に気がついていた。



「キスだけで感じた?その顔、すっかりその気だな」

「っ、違う……」

「口では否定してもその顔じゃ説得力ねえな。
まあ、今日は夜までかわいがってやるから」

「なっ、ちょっと!」




甘いセリフを言いながらいきなり抱き上げられて焦った。

構わず寝室へ向かう絆はニヤリと笑った。



「もっと素直になれって言ったよな?
だから俺のしたいようにする。ベット行こ?」

「……もう、好きにして」



パタン、と閉じた寝室のドア。ベットに運ばれた火照る身体。

その日は何時間に渡って抱かれ、気がつくと夜になっていた。
< 223 / 312 >

この作品をシェア

pagetop