惚れたら最後。
日本人離れのくっきりとした眼の中心で輝くアンバーの瞳。

嫌な光を放っていたが、同じ瞳だということは明確だった。

衝撃のあまり言葉を失い、ただその男の容姿を眺めていた。

背の高さ、顔の彫りの深さ、肌の色、髪の色──明らかに日本人ではない。



「おい、どうだ。売り物になりそうか?」



ふと、男の背後から低い声がした。

と同時に何のために自分がここに来たのかを思い出し、辺りから情報収集をしようと思った。



「うぐっ……」



しかし目の前の男がしゃがみ、大きな手で顔を掴み上げられそれは叶わない。



「ああ、日本での拾い物にしちゃ上物だ」



流暢な日本語を話す男は私の顔をまじまじと見つめる。

恐ろしく冷たい、濁りきった瞳。

色のない瞳に戦慄(せんりつ)した。

男は顔から手を離すと、立ち上がって私と距離を取った。
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