惚れたら最後。
「なんで自分ひとりで決断する、なぜ頼らない。前にもこんな事あったよな?なんで同じことを繰り返す」

「……」



なぜか言葉が出ない。完全に圧倒されてしまっていた。

絆は何も言えない私を見ながら深くため息をついて立ち上がる。

『もういい、お前なんか』次にはこんな言葉が投げかけられるんじゃないか。

今度は見限られるかもしれない恐怖に震えた。

次第に目頭が熱くなり涙が込み上げてくる。


……何か言わなきゃ、ここで泣くなんて都合が良すぎる。

泣いて許してもらおうなんて思われたくないのに。


弁解しなくてはいけないのに涙が出てきて邪魔をする。

こっちを見下ろしている絆が怖くて見れない。

次第に嗚咽が始まって何も喋れなくなってしまった。

漏れ出た嗚咽を口の中に閉じ込めようにも、唇が腫れている状態では口がちゃんと閉じない。

それに傷口に涙が染みて痛い。

私はどうすることもできず涙をこぼした。





白いシーツに涙のシミができていくのをただ呆然と見ていると、絆はベッドに腰を下ろし強く抱きしめてきた。
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