惚れたら最後。
「琥珀お姉ちゃぁぁん!」
本家の玄関に足を踏み入れた途端、星奈が突進してきた。
寝たきりだったせいかジャンプして抱きついてきた星奈が重く感じる。
「うっ、星奈……大きくなったね」
「星奈、こっちおいで」
よろよろしていたら見かねた憂雅さんが星奈を抱っこしてくれた。
「しんぱいだったんだよお姉ちゃん!かってに出てっちゃうから」
「ごめんね星奈、もう悲しませたりしないから」
「やくそくだよ!?星奈が大人になって憂雅と結婚するまでいなくなっちゃダメだよ?」
「そっか、憂雅さん星奈と結婚してくれるって?」
「うん!」
微笑ましく見守っていた憂雅さんがそれを聞いて顔をしかめた。
「え!?言ってねえよ、何それ初耳なんだけど!」
「別にいいんじゃないですか?
年の差婚なんて今どき珍しくありませんし」
「いや、違うって。確かに星奈はかわいいけどそういう意味じゃねえって。なんていうか家族に対する愛情的な?
じゃなかったら俺がロリコンみたいじゃねえか」
「そういう時必死に否定すればするほどドツボにはまっていくからな」
「違うんだって絆ぁ、信じてくれよ!」
先に靴を脱いで玄関に上がった絆とそれを慌てて追う憂雅。
私はクスクス笑いながら2人の後を追った。