惚れたら最後。
自宅の高層マンションに着き部屋に入る。

ところがどこも明かりがついておらず、シンとしていることに気がついて疑問に思った。



「……流星、星奈?」

「今日は本家に泊まってるよ」

「……は?」



不安になって子どもたちの名前を呼ぶと、後ろから玄関に入ってきた絆にそう言われた。



「たまにはふたりっきりの夜もいいだろ?」



なにかを企んでいるような妖艶な笑み。

いつかのデジャヴに、全てを“理解”して慌てて靴を脱いで一目散にトイレに向かった。



「……腹痛ぇの?食べ過ぎ?」



しばらくしてトイレのドアをノックしてきた絆。

口調からどうやら本当に腹痛と勘違いしているらしいと推測した。

だけど違う、そうじゃない。



「立てこもってるの、どうせ捕まったらろくな事にならないんだから」

「籠城?トイレに?……琥珀ってたまに訳わかんねえことするよな」



理由を聞いた絆はドアの向こう側でふふっと笑っている。

ツボに入ったのか控えめな笑い声がしばらく続く。

そんなにおもしろいか?と思ってそっとドアを開けると。
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