惚れたら最後。
「なっ、なんで脱いで……!」



廊下を挟んだ向かいの開け放した脱衣所で、衣服を手に持って上半身裸の絆と目が合ってしまった。

慌ててドアを閉めようとしたが力ずくで開けられた。



「もうこのまま風呂入ろうかと思って。ほら琥珀も馬鹿なことしてねえで脱げよ」

「自分で脱ぐから先入ってて!すぐ行くから」

「はぁい」



服を掴んで有無を言わさず脱がせようとしてきたので必死に抵抗した。

脱がされるより自分で脱いだ方が羞恥心が少ないのでそっちの方がいい。

絆が浴室に入ったのを確認してから琥珀はリビングに行って荷物を起き、それから服を脱いで浴室に入った。



「……」



頭からシャワーを浴びていた絆は琥珀を見るとその体勢のままじっと見つめてきた。



「なに?人の体ジロジロ見ないでよ」

「いつ見てもいいカラダしてんなと思って。今日は俺が洗ってやろうか?」

「うわ、気持ち悪っ……エロ親父みたい。
結構です自分で洗います」

「気持ち悪いはやめろって……じゃあ俺の身体洗って?」

「いいよ」



洗って欲しいと背中を向けてきたのでボディーソープの泡で優しく撫でる。

程よく筋肉がついたすべすべの広い背中、綺麗だなあ。なんて思っていたら違和感を覚えた。



「絆、なんか前より筋肉ついた?」

「刹那が筋トレ始めたらしくて、あいつには絶対に負けたくないから」

「何それ、まったく仲良いんだか悪いんだか……」
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