惚れたら最後。
一斉に保護者がスマホを向ける中、拓海さんは首にかけていた一眼レフを構えて星奈と流星を探していた。

ちょっと引いてしまったけどツッコんでいる場合じゃないと思い双子を探した。



「おっ、いたいた。星奈、流星〜!」

「ちょっと拓海さん、はしゃぎすぎだって」



列が3分の1ほど進んだところで2人は見つかった。

こっちに気がつくと星奈はニッコリはにかみ、流星は大きく手を振ってアピールしていた。

もう、目立つことは避けたいのに……。

まあいっか、拓海さんも楽しそうだし。

内心ドキドキだったけど、あまり深く考えないことにした。

式は滞ることなく進み、各クラスに移動してクラス担任の紹介があった後解散となった。




「拓海おじさんおそい〜!」

「まってたのにぜんぜんこないんだもん!」

「ごめんごめん、間に合ったから許して。な?」



教室内でやっと会えた拓海さんに抱きつくふたりはプクッと頬を膨らませて不服そうだ。



「せっかくオシャレしたのに。……あれ?拓海おじさんなんかへんなにおい……」

「あー!拓海おじさん“いちがんれふ”持ってる!?
かしてかして!おれも写真とりたい」

「分かった、貸してやるからよじ登るな!
とりあえず外出てからな」



写真が好きな流星は、星奈の声を遮ってカメラに夢中だ。

勢いよくよじ登ってきた流星にたじたじの拓海さんは流星を抱き上げて大人しくさせ、外へ向かった。
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