惚れたら最後。
「あー、よかった」




絆は呟くと抱きしめてきた。

なぜか嫌な気がしなくて抵抗できない。

一体何年ぶりに、こうして大きな手に抱きしめてもらったんだろう。

早鐘のように鳴る自分の心臓の音を聞きながら考えた。

流星と星奈はカウントしないとしても、夢が亡くなってからはこういうスキンシップ、誰ともとってなかったな───そう思うと目頭が熱くなった。



「で、お前歳いくつなんだ」



ぱっと手を放した絆は、寝転がった姿勢で問いかけてきた。



「最近18になったばかり。だからもし間違いがあっても犯罪にはならないからご安心を」

「ぶっ……そんなこと気にして言ったんじゃねえよ」



琥珀も横になったまま応えると、彼は笑い出しご機嫌だ。

こんな至近距離で嘘をつけばさすがにバレてしまいそうだから本当のことを言ったが、不安が頭を巡る。

ううん、大丈夫。私の秘密は絶対に暴かれない。

万全の体制でここにいるんだ。隠すべき秘密は決してバレないから大丈夫。

琥珀はその不安をまぎわらすために絆に話しかけた。




「そういえば、どうして私が絆に近づいたか気になってたよね。
あれはただ───」

「言わなくていい」



ところが話しかけた途端、片手で口を塞がれた。
< 40 / 312 >

この作品をシェア

pagetop