惚れたら最後。
「それを聞いたらもうお前に会えない気がする」

「じゃあ知らなくていいの?」

「また今度聞かせてくれ。……今はこうして琥珀といるだけでいい」



そう言いながら抱きついてきた絆。わたしはそっとその大きな背中に手を回した。

すると絆は顔を合わせて驚いた表情をしていた。

しばらくしてから、綺麗な手でゆっくりと私の触れてきた。

逃げないように両手で頬を優しく包まれ、私は目をつぶった。

次に目を開けた時には唇に違和感を覚えた時だった。

唇を合わせるだけの優しいキスは、しばらくして一度唇が離れても感触が残っていた。



「逃げねえの?」

「え?……っ!」



呆然とする私に嫌がる様子がないと分かると、今度は舌を絡めた深いキスをしてきた。

酒と香水の匂いが鼻腔(びこう)に広がる。



「んっ……ぅ、嫌っ」



その豹変ぶりに怖気づいて絆の胸を強く押した。

が、絆はその手を掴むと指を絡めベッドに押し付けた。

されるがまま激しい口付けをされ、ようやく解放され息ができるようになった時私はぐったりしていた。
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