惚れたら最後。
すると、刹那がのんきに口を開いた。



「やっぱどんな屈強な男も、嫁さんには逆らえねえのかな〜」

「あ?」

「え?思ったこと口にしただけじゃん。なんでそんな顔すんの。
ねえ父さん俺に厳しくない!?」

「俺と同じ顔なのに性格が年々颯馬に似てきて腹立つんだよ」

「何その理由、理不尽すぎ!」



逆に自分に顔が瓜二つの刹那に対して親父は厳しかった。

しかし一向に刹那はへこたれないというか、人並外れたメンタルを持っているのでまったく心配ない。

でなければ極道のトップである父親に対し軽口など叩けないだろう。



「もう、息子にそんな凄まないで。
心配しないでね刹那、お父さんはちゃんと刹那のこと好きなんだからね?」

「分かってるよ大丈夫。じゃあぼちぼち学校行きますか」

「待って刹那、制服にノワールの毛が……」



食事を食べ終えた刹那が立ち上がったところ、同じく食べ終わった永遠が食卓から離れた。

そして通学用のカバンの中からエチケットブラシを取り出していそいそとスカートを綺麗にし始めた。
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