惚れたら最後。
仕方なくはあとため息をつき、ふと真っ暗な部屋の中、開け放された窓の外を見つめた。



「あ、流れ星」

「……流れ星?こんな時期に?」

「うん、だいたい毎年11月はおうし座流星群が見えるんだよ」



絆はベッドから身を乗り出して外を眺める。

その綺麗な横顔に語りかけた。



「……こんな夜だったんだ。ゴミ捨て場に棄てられたあの子たちに会ったのは」

「それは……リュウセイとセナのことか?」

「うん、どうも親が棄てたらしくてね。見つけた当時は、あんな小さい身体に痣がたくさんあって、いたたまれなかったなぁ」

「……」

「そこから、育ての親に相談して養子縁組をして、私が流星と星奈と名付けた。
ただ、その育ての親が2年前に亡くなってね……以来、私が親代わり」



空を見るのをやめて、向き合う絆は真剣に話を聞いている。

こんな話、極道に生きる人間なら山ほど聞かされてるだろうに……。

琥珀はうっすらと笑うと言い放った。



「私が抱えてる秘密がひとつだけだと思った?
面倒だと思うなら今のうちに手放した方がいいよ」



すると絆はハッとして正面から見つめてきた。



「馬鹿言え、俺の目が節穴とでも言いたいのか?
お前は綺麗だ。それは外見の話じゃなく、心の話だ。
じゃなけりゃその歳で子どもを引き取るなんて真似はしないだろう。
俺の見立ては間違いない、絶対に放してやらねえ。
俺が見つけた唯一だ」



熱弁した彼に驚き、ぽかんとした面で見つめた琥珀は一言。



「……恥ずかしくないの?そんなストレートに表現して」

「愛情表現?別に?俺の両親はもっとすごいぞ」

「ああ……なるほど」



基準がそこなら確かにそうか、と琥珀は妙に納得した。
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