×secret!×
沙絵がそんなこと言うなんて意外。
また、妙な鋭さが手伝ったのかな。
「沙絵は夏だね。思いきり、夏生まれだ。」
「うん。よく言われる」
そう言って何故か少し照れながらも笑う沙絵を見て、やっぱり夏っぽいなと再確認。
どうやったら、そんなにくるくると表情を変えられるのだろう…と、
少し羨ましく思った。
それにしても「羨ましい」って感情は、なんて厄介な感情なんだろう。
だってこの感情ひとつで、憧れにも、憎しみにもなったりする。
もしかしたらその他にも、色んなものに姿を変えるかもしれない。変幻自在ってやつだ。
「もう掃除は終わりだっ!
帰ろ??」
「うん。」
ホウキを掃除用具入れになおして、鞄を手にすると、楠木も友達と帰ろうとしていたところだった。
教室のドアを開けて、廊下へと出ていく。