君をトリコにする方法
「誰かに何か言われたのかな？それともほんとはずっとそう悩んでたのかな？」


「それは……わかんない。あたし、瑞稀の話もろくに聞かずに『別れる』って言っちゃったし」



澪はそのことを後悔してるのか、ため息を吐いてうつむく。


優愛ちゃんはその様子を見て辛そうに表情を歪めたけど口を開いた。



「だけど吉川くんは別れたくないって言ってたね」

「え、ま、まあ確かに……」



優愛ちゃんはいつになく真っ直ぐした物言いだった。

口調は優しいのにしっかりとした芯がある。



「別れたくて言ったんじゃないなら、澪ちゃんになにか伝えたかったのかも」



優愛ちゃんの言葉を聞いて澪が息を呑む。


10秒ほど考え込んだあと「……そっか、そうね」と呟いた。



「あたし、なんでそんな風に思うんだろうってことばっかり考えてた。でも優愛の言う通り、どうしてそのことをあたしに話したかを考えないといけなかったね」



澪の表情が少し晴れる。

そんな彼女を見ていた優愛ちゃんも優しく微笑んだ。



「……瑞稀は人を傷つける言葉をなんの理由もなく言う人じゃないのに、あたしやっちゃったな。もう幻滅されちゃったかな」
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