君をトリコにする方法
「……はああ」



瞬を避けてしまってから一人で歩くことが多くなった帰り道。


もう何度目かわからないため息を吐いたとき、後ろからポンっと肩を叩かれた。



「きーほ!ため息なんてついてどうしたんだよ、なんか悩み事?」


「こうちゃん……!」



後ろを振り返ると、同じく学校帰りであろうこうちゃんが制服姿で立っていた。


最近よく会えて嬉しいけど、悩み事をそのまま話すわけにはいかなくて笑ってごまかす。



「い、いやあ~、ちょっと疲れちゃって」


「ええ?大丈夫か?希帆は昔から無理するとこあっからな~」



そう言いながらガサゴソとかばんの中を漁るこうちゃん。


すると目的のものはすぐ見つかったのか、「ほい」と私の手のひらの上に何かを置く。



「わ、キャンディー?」



小さくて黄色の包装紙がかわいい。



「それめっちゃ美味いから!オレのオススメ!ひとつあげる」



にこーっと笑うこうちゃんを見ていると、それだけで気分が明るくなる気がする。


それにその優しさがすごく嬉しい。
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