君をトリコにする方法
これまた返答に困っていると、突然頭をぽんっと撫でられた。


どうしたんだろうと思ってこうちゃんの方を見てみると、優しい顔で微笑まれる。



「まっ、人生いろいろあるよなー。だからそんな顔すんなよ」


「ええ?私そんな変な顔してた?」



心配されるような表情をしてしまっていたのか気になって、自分のほっぺたをぺたぺた触る。


すると歩くペースが少し遅くなっていたのか、一歩前にいたこうちゃんが振り返った。



「話変わるんだけどさ、希帆、彼氏とかできた?」

「えっ!?」



いやそれ実はそんなに話変わってないんですけど!


なんて一瞬言ってしまいそうになったけど、ぐっと抑えた。


それに、人がたくさんいる中でだいぶオーバーリアクションをしてしまった気がする。


ちょっと恥ずかしくなって「あー、ええと」と言葉にならない声が漏れてしまう。


チラッと視線を動かすと、返事を待ってくれてるこうちゃんの表情がいつもより真剣に見えて、羞恥で熱くなっていた頭が冷える。
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