君をトリコにする方法



モヤモヤしたまま授業を受け、あっという間に放課後になる。


彼氏と一緒に帰る澪と、美味しいケーキ屋さんに寄るらしい優愛ちゃんにバイバイすると、



「ひとりで帰んの?」



と瞬に声をかけられた。



「うん、瞬は?」

「俺もひとり。早く帰ろ」



当たり前かのようにそう言われて胸がドキッとする。



「仕方ないなあ、ぼっち同士一緒に帰りますか!」


「別にぼっちじゃねえし」


「またまたあ、寂しいくせに~」



嬉しくてドキドキする鼓動を抑えるように、言葉を紡いでいく。



ふたりで校門をくぐろうとしたとき、女の子の声が後ろから聞こえた。



「あのっ、日高くん!」



苗字を呼ばれた瞬と、隣にいた私も声の方へと思わず振り返る。


髪の毛がふわふわな、かわいらしい女の子が顔を赤くして立っていた。


確か、隣のクラスの子だ。



「あの、その……このまえの、返事のことでっ……」



返事?

小さい声だけれど聞こえた。

一体何のことだろうと思っていると、



「ごめん」



となんだかんだ優しい瞬にしては冷たい声で言い放った。



「あ……えっと……」



女の子は俯いて悲しそうにプルプルと震える。


返事、ごめん。

このふたつの単語で何のことかはすぐに理解できてしまった。


瞬はモテるし、そういう噂もよく聞く。


だからといって、こうして目の前でやり取りを見るのは初めてだけど……
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