君をトリコにする方法
心臓がドキドキと嫌な音をたてる。


私、怖くてずっと焦ってるんだ。


今はお互い恋人もいないし、一緒に登下校することも家に行くこともできる。


だけど、瞬に恋人ができたら今までの距離感ではいられないから。



そう、例えば、去年すごい噂になってたときみたいに――



「え、えーっと……瞬ってほんとすごくモテるようになったよね!」

「……そーだな」

「なんでそんな嬉しくなさそうなの!モテない私がかわいそうでしょ!」



さっきまでの暗い空気を吹き飛ばすように明るい声を出す。


瞬の口元も少し緩んでいてほっとする。


安心したからなのか、いつものように言葉がぽんぽんと出てきて……



「瞬ってばどんどんかっこよくなるんだもん、私だって最近すごくドキドキして……」

「……は?」



ついついずっと胸の奥にしまっていたことまで言ってしまった。



やば、またやっちゃったよ私のバカ……!



ぎぎぎ、とロボットみたいな動きで瞬を見上げる。


怪訝そうな顔で見られていて、背中に嫌な汗が伝う。


だけど澪の、『告白しても希帆ならオーケーされるよ』という言葉を思い出す。


そうだ、こうなったらもう開き直っちゃえば……!
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