君をトリコにする方法
泣きそうだった気持ちが引っ込み始めていると、それを大きく上回る声が聞こえてきた。



「えっ、瞬と立本、付き合ってんの!?」



自分の名前が呼ばれて、思わず声の主の方へと振り向く。


教室中に聞こえる大声で叫んだ男子は、瞬を含んだクラスメイトの男子数人と話しているみたいだった。



「付き合ってるよ」



瞬がはっきり告げると、男子は驚いた顔のまま私の方へ顔をぎゅるんと向ける。


目がぱっちり合ってそらせないでいると、そのまま私のところにやって来て言った。



「ほんとか!?」



優愛ちゃんとはまた違う勢いに気圧される。


視線だけ動かして瞬の様子を伺うと、これでもかというほど普段通りで。


それがすごく嬉しかった。


不安な気持ちだって確かにあるのに、それでも。



「……うん」



クラスメイトのみんなが見守る中、こくりと頷く。


すると目の前の男子は誰よりも先に「おおーい!マジかよ!」と叫んだ。



「そんな幸せそうな顔しちゃって!そんな顔されちゃ、瞬を合コンには誘えねえよおお!」



誰か他のイケメン見つけねーと……と力なく言うから、なんだかすごく申し訳ない。


いやでも、合コンには正直行ってほしくはないし……


っていうか私、幸せそうな顔なんてしてた!?


思わず頬をぺたぺたと触っていると、一部始終を見ていたクラスメイトたちが集まってくる。
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