君をトリコにする方法
「えっ、瞬?」



私の手首をつかんだのは瞬だった。

いったいどうしたんだろうと考えていると、ぐいっと引っ張られる。



「えっ、えっ?どこ行くの?」

「人のいないとこ」



瞬はそう言って、私の手首をつかんだまま扉をめざす。


するとクラスのみんなが騒ぎ始めた。



「おーい、もういちゃつくんですかー?」


「人のいないとこだって、やばーい!希帆ちゃん逃げてー!」


「もうすぐ授業はじまるぞー」



にやにやしながらみんなにからかわれて顔が赤くなる。


なにか反論しようとすると、それより先に瞬が口を開いた。



「お前らの言う通り、いちゃついてくるから付いてくんなよ」



それだけ言うと教室を出て扉を閉めた。


教室の中から「きゃーっ!」と騒ぐ声が聞こえてきて、とてつもなく恥ずかしい。



「ちょ、ちょっと瞬!みんなの前でなんてこと言うの~っ!」



こんなんじゃ教室に戻りにくすぎる……!


なんて文句を言ってる合間に、手を引っ張られるまま歩いていく。


すると人気のない廊下にたどり着いた。
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