君をトリコにする方法



リビングに行くと、ママが朝ごはんを机に並べてくれているところだった。



「おはよう希帆。お味噌汁食べる?」

「ママおはよう!食べます!」



元気に返事をすると、ママは「はーい」と返事して瞬にも目を向ける。



「瞬くんの分も用意しちゃうね~」

「お願いします」



椅子に座ると、美味しそうな香りがするお味噌汁が運ばれてくる。


いつものように向かい側に座った瞬は、さっきのことなんてなかったかのように平静だ。


私はあんなにドキドキしたのに……!



「なに?」



少しにやっとした表情をしてる瞬は絶対確信犯だ。


なにって聞きながら、私が何を考えてるかわかってる。



「瞬ってほんと私のこと好きだよね!」



ふんっと鼻を鳴らす。

どうだ、言ってやったぞ嫌味で!


隣にいたママが「あら~」と嬉しそうな声を出して反応する。


だけど瞬は全然動じなくて。



「好きだけど?」

「っ……!」



恥ずかしげもなくさらりと言うから、逆に私が赤くなってしまう。


だめだ……

もうなに言っても勝てない気がする……


こうなったら早くご飯食べて、空いた時間にちょっとでも勉強しよう……


甘いのに温かい、変な空気の食卓の時間だった。
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