君をトリコにする方法
「え、お金!」


「いいよ、それくらい奢る」


「ええっ、ありがとう!そしたら瞬の分は私が……って瞬はやきそばいらないの?」


「うん、あとでいい」



あと……?

もしかしてお腹空いてなかったり……?


気になってじっと見つめていると、その視線に気づいた瞬がくすっと笑う。



「なに、見惚れた?」

「えっ、ちが……!いや違うくはないけど……!」



あわあわしていると、瞬が「ん?」と声をもらす。


なんだろうと思って目線を動かすと、私たちの方に向かってきている澪と吉川くんがいた。



「希帆!めっちゃかわいいじゃん!」

「澪ー!まさか会えるとは!澪も綺麗だね~!」



嬉しくなってぴょんぴょん跳ねると瞬に止められる。



「お前、浴衣ではしゃぐな。あとやきそばこぼれるだろ」


「あっ、そうでした!」



浴衣を着てるの忘れて汚しちゃうところだった、あぶないあぶない……!


ふう……と息を吐いていると澪が笑う。
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